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【九森信造】谷瑞恵『思い出のとき修理します』【松井珠理奈】

   ↑  2013/08/14 (水)  カテゴリー: ナツイチ
『思い出のとき修理します』を読んだ松井珠理奈ことじゅりなは、松井玲奈とともにSKE48の双璧を成す。

人呼んでJR松井だが、多くの人はこの2人を仮想姉妹と見なす。その場合、姉の玲奈はおしとやかで、おとなしいのに対し、妹のじゅりなはおてんばのしっかり者として捉えられる。

その設定は作品選びにもよく表れており、姉の玲菜が背景的にも内容的にも重厚な『人間失格』を担当したことに対し、じゅりなは比較的取り組みやすい『思い出のとき修理します』を取り上げている。


思い出のとき修理します (集英社文庫)


内容的には、過去に傷を持った、時計修理屋のシュウと美容師の明里が商店街の人々と触れ合う中でそれぞれの過去に決着をつけていくという物語。

しかし、その物語を読んだ感想として、じゅりなはこう端的に述べている。

わたしは、「思い出のとき修理します」というこの本のタイトルを見たときに、思い出は修理できるのだろうか、修理したい思い出とはどんなものなのか、興味をもちました。


じゅりな自身の過去をさかのぼった場合に「修理しなければいけない思い出(壊れている思い出)」がないということだ。

本作では、いずれの登場人物も事情によって過去とまっすぐに向き合うことができずにいる。

「向き合うことができない(壊れている)」から「改めて向き合う(修理する)」のである。

だからこそ「思い出を修理するお手伝い(一緒に向き合う人や出来事)」が必要になるというわけだ。

本作自体の出来云々は置いておくとして、商店街が舞台となっているのは、そこに過去と向き合うための時間とつながりが存在しているという前提と、逆に都市化した空間ではそのような時間もつながりも得ることができないという前提を、読者が共有しているからだろう。

じゅりなはこう結論する。

不思議な出来事なんですが、心温まる結末で優しい気持ちになれました。
もしかしたら、自分の近くにもこんなことがあるかもしれない。
いや、あったらいいなと思いました。


名古屋という大都市の寵児じゅりなも、上で挙げたような前提を共有し、この作品から、かつてあったような気がする理想的なコミュニティの温度感を感じたのかもしれない。

一つ間違えれば、安っぽい恋愛SFラノベと捉えられかねない本作をそのような作品として昇華させ、感想を述べた、じゅりなの感性に敬服するばかりである。

【ナツイチ図書室 AKB48 読書感想文大公開】松井 珠理奈の課題図書「思い出のとき修理します」の読書感想文はこちら!

(記事編集) http://buraihamegane.jp/blog-entry-33.html

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